君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
「どうして小花は、死んでしまったの!?」
叫び声と一緒に、中尾さんの頬から涙がボタボタと零れ落ちた。
「なんであたしに、なにも言わずに逝ってしまったの!?」
あたしと凱斗に向かって、振り絞るような泣き声で悲しみをぶつける。
彼女はほかには誰も、ぶつけられる相手がいないから。
入江さんが自殺したって、学校中が『どうせ他人事』だった。
たぶんイジメが原因だろうとか、適当に噂して。
テレビにインタビューされたことを、自慢すらして。
自分とはまるで関わりのない世界だと信じている人たちばかりに囲まれて、ずっとひとりぼっちだったから。
それでも中尾さんだけは、知っていたんだ。
彼女は入江小花という世界と、たしかに関わり合っていた。
お互いの大切な時間を共有して、まるで糸と糸が重なり合うように、心を通わせ合う存在だった。
……なのに、最後の最後の最後に、一方的に糸は切れてしまった。
一番大事な時に、一番大事なことを、ひと言も告げずに入江さんは中尾さんの前から消え去った。
忽然と文字の綴られなくなった日記のように。