君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

「ねえ凱斗、雨、降っちゃったね」

「…………」

「降水確率、たった20%だったのに、降っちゃったね」

 あたしは、泣き笑いみたいな顔で言った。

 降るはずもないと信じていた雨。

 本当に、夢にも思っていなかったの。

 まさかあたしたちの幸せと喜びが、必死に救いを求める入江さんの希望を砕いてしまうなんて。

「向坂」

 凱斗が、とっさに身を乗り出すようにして口走った。

「俺はそれでもお前のことが……」

 それ以上を言えずに、凱斗は言葉に詰まってしまう。

 それでもなんとか勇気をふりしぼるように、あたしに向かってグッと傘を差しかけた。

 そのひたむきな、一途な表情を見て、心から思う。

 この傘に入りたい。この手を取りたいって。

 でも入江さんの世界が終ってしまったのは、あたしたちのせいなの。

 この先ずっと雨が降るたびに……

 凱斗の隣を歩くたびに……

 凱斗の笑顔を見るたびに……

 凱斗を好きだと思うたびに……

 あたしたちは、それを嫌というほど思い知るのよ。

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