君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
きっと、泣きながら暗い雨に打たれただろう、入江さんを思うの。
そしていま、川べりでひとりぼっちで背中を丸めて、雨に打たれて泣いているだろう中尾さんを思うの。
なのに、あたしだけが……。
「あたしだけが、凱斗の傘の中には入れないの……」
言い終わらないうちに涙があふれた。
目の奥がジンジンと熱くなって、凱斗の姿が、雨に濡れたガラス越しのように歪んで見える。
瞬きをしたほんの一瞬だけクリアになっても、また次の瞬間、凱斗の姿は霞んでしまう。
凱斗……見えないよ。いつだって、どんなときだって凱斗は鮮やかだったのに。
今はもう、窓ガラスの向こうの景色のように遠くに思えてしまう。
頬を濡らす冷たい雨を、熱い涙が巻き添えにして、つうっと口の中に入り込む。
言葉にできない切なさと苦しみの味を噛みしめながら、掠れる声であたしは言った。
「あたしたち、友だちでいよう」
「……!」
凱斗の両目が見開かれる。
そして不意打ちで食らった痛みに耐えるように眉を寄せ、ギュウゥッと唇を噛んだ。