君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
「バカだよね? あんたらバカでしょ。自分たちはバカって自覚してる? してないなら教えてあげる。あんたら、バカよ」
「藤森、お前、すっかり元通り回復したみたいでよかったな」
半分呆れたように溜め息まじりで言う凱斗に、即座に亜里沙は叫び返す。
「ちっともよくないっての!」
眉を吊り上げた亜里沙は廊下の窓辺に寄りかかり、腕組みしながら斜に構えてこっちを睨んでる。
このポーズは、かなり本気でイライラしているときのポーズ。爆発寸前の危険な兆候だ。
その証拠に、朝のホームルーム前の時間帯で賑わう廊下で、大勢の人目も気にせず声を荒げている。
「亜里沙、ちょっと声がおっきいよ」
「大きくもなるってば。『友だちでいよう』? なんでそんなバカな結論に達したわけ?」
周りの目を気にするあたしの様子なんか無視して、亜里沙はピシャッと言い放つ。
……ほんと、元通り元気になって安心したよ亜里沙……。
「だってそれ以外にないじゃない」
「そこに到達する思考が理解できない。話を聞いた限りじゃ、ますますふたりに責任はないじゃん」
それは、責任のあるなしだけで言えば、そうなるのかもしれない。
でもそれだけでは割り切れないんだよ。