君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
遠ざかる背中

 あの日を思い出すたび、胸がキュウッと苦しくなって、でも顔が勝手にニヤけちゃうのが止まらない。

 あの日からあたしは、どれほど雨が降るのを待ち望んだことか。

 毎朝、目が覚めて真っ先に確認するのは天気予報。

 テレビの降水確率を見て一喜一憂して、確率が高ければ高いほど、明るい希望に胸が膨らんだ。

 どんなにお母さんに文句を言われたって、絶対絶対、ぜーったい、傘は持たずに登校し続けた。

 そうして気合い満タン、準備バッチリで待機していたんだけれど……。

 今度はなかなか、かんじんの雨が降らなくて……。

 雨って降って欲しくないときは遠慮なく降るくせに、待ち望んでいるときは降ってくれないんだ。

 バスの到着時刻もそうだよね。
 早めにバス停で待ってる時はなかなか来ないくせに、なぜかこっちが遅れた時に限って、あと一歩のところで、無情にも置き去りにされてしまう。

 つまりすべては、タイミングなんだ。

< 22 / 274 >

この作品をシェア

pagetop