君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
「よし。じゃ、仲直りしに行くか」
うつむいた頭の上に、ポンッと手のひらが乗っかる感触がして、その大きさと温かさにますます顔が赤くなる。
あたしはドキドキしながら上目遣いで凱斗を見上げて聞いた。
「一緒に行ってくれるの?」
「ああ。今回のお前らのケンカは俺にも責任あるしな」
毬つきみたいに軽やかにポンポンと頭を撫でられ、胸がキュンと切なくなる。
いつも通りの穏やかな笑顔に、お礼を言うのも忘れて目が釘付けになってしまった。
凱斗の笑顔や、手の感触や低い声に、あたしの心がいちいち敏感に反応する。
苦しいくらいのドキドキが心地よくて、嬉しい。
勝手に湧き上がってくる気持ちを制御できずに、自分でも持て余してしまう。
凱斗は「行くぞ」って言いながら、生徒玄関に向かって歩き始めた。
頭から凱斗の手が離れてしまって、それが寂しくて、あたしは慌てて背中を追う。
待ってよ、凱斗。
「あ、ありがと凱斗。ごめんね」
「いいって。気にすんなよ。俺たちは友だちだろ?」
―― ズキン……
胸の奥に強い痛みが走って、思わず足を止めて凱斗の背中を見つめた。