君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
生まれてきてくれて、ありがとう
「あの、亜里沙……」
黙々と掃除を続けている亜里沙に、あたしは恐る恐る声をかけた。
パッと振り返った亜里沙は、黙ってあたしの顔を見つめている。
琥珀色の視線の直撃を受けて、怯んだあたしは反射的に目を逸らしてしまった。
うう、あたしって根性なし……。
「ほら、向坂」
凱斗に肘を突っつかれて、あたしは思い切って謝罪を切り出した。
「えっとぉ、あのぉ~……いろいろとぉ、そのぉ~……」
……ぜんぜん謝罪になってないよこれ。
謝罪どころか文章すら成立してないよ。
言いたい言葉がなかなか出てきてくれなくて、唇の形を無意味にパクパク変形させてばかりいる。
ごめんなさいって言葉は、なんでこうも言いにくい言葉なんだろう。
「つまり、よかったらこれ、お納めください」
あたしはオズオズと、さっき自販機で買ってきた缶コーラを亜里沙に進呈した。
亜里沙が好きなコーラ。これで謝罪の気持ち、通じるかな? 通じてほしい。