君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
「亜里沙お願い! 待って!」
スカートの裾をひるがえして全力疾走する亜里沙は、近くの小さな公園に飛び込んでいった。
ブランコや滑り台や砂場の横を走り抜け、一番奥のベンチの所で立ち止まり、ハアハアと息を乱している。
あたしも少し離れた所で立ち止まり、息を切らしながら、亜里沙の琥珀色の髪が揺れる背中を見つめていた。
「まったく、あんたたちってば……」
乱れる息を整えながら、亜里沙は突然クスクス笑い出した。
「なんなの? さっきの青春ストーリーなセリフは。よく恥ずかしくないね? 聞いてるこっちが赤面ものだったよ」
大きく肩を揺らして笑いながら振り返った亜里沙の目は真っ赤で、涙がポロポロ零れている。
「笑えて笑えて、ほら、涙まで出てきちゃった」
「亜里沙……」
「あははは」
そんな泣き笑いしてる亜里沙を見たら、こっちまで両目が熱く潤んできちゃって。
あたしも一緒になって笑い出しながら、泣いてしまった。
「あははー。やだ、そんなクサかった?」
「んもう、悶絶」
「ぎゃー! ハズカシー!」
ふたりして声を上げて笑いながら、ひたすら涙を拭って、また笑う。
そんなあたしたちの姿を、近くの鉄棒で遊んでいた女の子たちがキョトンと見ていた。