君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
「つらくてつらくて、どうしようもなくて……死んだら楽になるかなって、本気で考えた。ま、死ななかったけどね」
あたしの胸がドキンと騒いで、思わず琥珀色の瞳の奥を探るように見つめてしまう。
追い詰められた亜里沙は、死を考えていた。
そうか。それで亜里沙はあのとき、あんなことを言ったんだ。
『生きるも死ぬも、本人次第。自分の責任において死を選んだのなら、誰も責任を負えないし、誰を責めるべきでも、誰に責められるべきでもない』
あの言葉は、決して入江さんを突き放した言葉じゃなかったんだ。
本気で死について考えた亜里沙自身の本音だったんだ。
亜里沙が、あの嵐の日でも休まず学校に来ようとしていたのは、ひょっとしたら家に居場所がなかったからじゃないだろうか?
皆勤賞なんて晴れがましい物の陰で、亜里沙はそんな苦悩を抱えていたんだ。
風邪で学校を休んだのだって、本当は家の事情のせいだったのかもしれない。
亜里沙がこうして生きていてくれることに、心からホッとすると同時に、そんなにまで追いつめられていたことを知りもしなかった自分に、腹が立ってしかたない。
「亜里沙、ごめんね。あたしなんにも知らなくて、なんの力にもなれてなくて」
「なに言ってんの。奏があたしを救ってくれたんだよ?」
「え?」