君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

　夕方の陽射しが、あたしと亜里沙の顔を温かい黄昏色に染めていく。

　涼しさの増した柔らかな風が、今日の疲れを癒すように頬を撫でていった。

　こんな大変な一日だったのに、結局はいつも通りに今日という日は終わりを告げる。

　生とか死とかの重っ苦しい話をしている傍らでは、子どもたちがブランコの順番争いで、わんわん泣いてるし。

　ああ、ほんとになんなんだろう。この世界って。

　まるで『だまし絵』みたいだ。

　複雑で、不確かで、関わり合った誰もかれもが自分を責めたり、人を責めたり、傷つけられたり傷つけたり。

　一寸先も見えない霧に包まれた『だまし絵』の中を、今日も明日もあさっても、人は生きていかなきゃならないなんて。

「まだ家族が仲良かった頃、ここの公園でお父さんから自転車の乗り方習ったの」

　遊んでいる子どもたちの姿を懐かしそうな目で眺めながら、亜里沙が教えてくれた。

「あっという間にマスターしてさ、お父さん、すごく喜んでくれたんだ。『さすが俺の娘！』って」