君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 だけど自分と他人は文字通り『世界が違う』から、すれ違うし、誤解もするし、ぜんぜん望み通りにならないし。

 思いもよらない結末に直面して、『そんなつもりじゃなかったのに』と慄いて、傷つけられて誰かを責めて、誰かを傷つけ、自分を責める。

 そんな連鎖に耐えきれなくなって、いつしか一番大事なものを諦める。

 ……大切なことを相手に伝えるって、想像以上に困難だから諦めた方が楽だもんね。

 でも、だめなんだ。

 それじゃだめなんだ。

 だって、繋がることを諦めなければ世界は変わるし、救われるから。

 大丈夫。ほんの些細な繋がりでいいんだ。

 間宮君の、亜里沙への恋。

 あたしが亜里沙へ送ったバースデーカード。

 あたしのスカートの中にある、メモ用紙に書かれた短い文章。

 そして柿ピーと茎ワカメが好きだと伝え合い、見つめ合うこと。

 そんなものでいい。

 ただそれだけでいいの。

 それだけで世界は関わり合って、変わっていく。

 そして、いつか思うんだ。

『あなたがこの世界に生まれてきてくれて、出会ってくれて、よかった』って。

< 266 / 274 >

この作品をシェア

pagetop