君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 亜里沙はあたしの隣に立ち、空をジロリと睨み上げた。

 風が吹けば倒れそうなほど儚げな美貌の持ち主である彼女は、あまり知られていないけど実はかなり性格がキツイ。

 風どころか、暴風雨だろうが嵐だろうが、亜里沙は決して怯まない。

 この前のヒドイ台風の時だって、皆勤賞を狙っていた亜里沙は、傘をさして強引に登校したくらいだ。

 豪雨が煙って視界を曇らせる中、黙々と彼女は歩いて、歩いて、意地と根性で歩いて歩いて歩き続けて……。

 あと5メートルで校門という所で、なんと車に轢かれて救急車で運ばれた。

 車がスピードを出して無かったおかげで、奇跡的にただの打ち身と捻挫で済んだんだけどね。

 もちろん自宅療養のために、学校はそれから数日間欠席。
 結局、彼女がそうまでしてこだわった皆勤賞の夢は、それで儚く散った。

 ちなみにその日、悪天候のため臨時休校になったのを亜里沙は知らなかったらしい。

 凛とした美少女だけど、そんな風に妙に抜けてる可愛い部分があたしは大好き。

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