君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
こんな状況なのに、やっぱり凱斗の姿だけ、周りの何もかもが霞むくらい鮮やかだった。
凱斗は後ろを振り向くことなく、真っ直ぐに進んで行く。
青色の傘は校門を出て。
どんどん小さくなって。
そしてついに、他の生徒達の波に紛れて、見えなくなった……。
最後まで見つめていたあたしの耳に、ようやく周囲のざわめきが戻ってくる。
女子生徒達の甲高い笑い声や、いつの間にか強くなっている雨音。
濡れて色濃くなったアスファルトの上を、明るい傘の花々が揺れ動く。
その光景が涙でじゅわっと滲んで、あたしは、あの時の凱斗の言葉を思い出していた。
『俺、いつも傘用意してんだ。奏のために』