君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 ……あたし、勘違いしてた? やっぱりあれ、聞き間違いだったの?

 あの時、あんなにも幸せだったから、逆に今が辛くてたまらない。

 自分が恥ずかしくて、情けなくて、みじめとさえ思う。

 両目がジンと潤んで、鼻の奥がツーンと痛んで、目の前がどんどん霞んでいく。

 やばい。このままここに立っていたら、誰かに見られるかも。学校で泣いてるとこなんて見られたくない。

 でも涙は勝手に盛りあがってきて、あたしは急いで玄関から外へ飛び出した。

 突き刺さるように雨が全身を叩く中、俯きながら黙々と早足で校門へ向かう。

 雨の勢いが強いから、下を向いて顔を隠してても不自然じゃない。

 頬が濡れてても、きっと変に思われない。

 だからあたしは少しだけ安心して、家に向かうことができた。


< 34 / 274 >

この作品をシェア

pagetop