君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨


「あれほど傘持って行けって言ったのに!」

 ビショ濡れのミジメな姿で帰宅したあたしを、お母さんが怒り顔で待ち構えていた。

「なんで持って行かなかったの!?」
「…………」
「お母さんの言うこと聞いてさえいれば、そんなに濡れずにすんだのに!」
「…………」

 言い返す気力もなく、トボトボと廊下を歩くあたしの背後にビタッと張りつきながら、それ見たことかと言わんばかりに説教してくる。

 弱った心に追い打ちをかけるような、そんな偉そうな態度が神経にジリジリ障った。

 それでもあたしは口を噤んでリビングに入り、濡れた制服をモソモソ脱いでお母さんに手渡した。

「たまには自分でアイロンかけたら!? 好きで濡れて帰ってきたんでしょ!?」

「好きで濡れたわけじゃない!」

 さすがに、その言葉には思わず怒鳴り返してしまった。

 ……お母さんのバカ! 母親なら傷ついた娘の微妙な心理くらい察しろ!

 あたしはリビングを飛び出して自分の部屋へ駆け込んだ。

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