君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
不穏な影と、繋いだ手

 水飲み場に戻った時、ちょうど清掃終了チェックが始まるところだった。

 担当の先生から用紙にハンコをもらって、あたしと亜里沙が教室に向かうと同時に、廊下の向こうから怒鳴り声が聞こえてきた。

「おい間宮ぁ! お前、ちょっと来いー!」

 ズカズカと大股でこっちに突進してくる美術の先生の両目が、吊り上がってる。

 きっと美術室の惨状を見たんだ。
 あの状況じゃ怒るのも無理ない。ミケくんなんか、見事に切断死体な状態だし。

 わけもわからず目を丸くしている間宮くんの横を、あたしと亜里沙は黙ってそそくさと通り過ぎる。

 ……リーダー間宮、ごめん。いつかきっと埋め合わせするから、ここは任せた。

 その後、帰りのホームルームが終わって、あたしと亜里沙は一緒に教室を出た。

 部活とか補習とか、それぞれの目的地に向かう生徒たちの波にまぎれて、生徒玄関へ向かう。

 廊下の窓ガラスはすっかり雨に濡れて、外の景色が歪んで見えた。

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