君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
「あ! 待ちなさいよ凱斗!」
凱斗の名前を呼ぶ亜里沙の大声に、あたしはハッと顔を上げた。
亜里沙が大急ぎで靴を履き替え、傘を差して生徒玄関を飛び出して行く。
そのずっと向こう、凱斗の青色の傘と背中が、校門へと歩いて行くのが見えた。
亜里沙はその背中に向かって突進していく。
「あ、亜里沙!? ちょっと待ってよ!」
あたしも急いで靴を履き替え、傘を開いて夢中で後を追って走った。
薄い膜のような水に覆われたアスファルトから、ピシャピシャと水飛沫が跳ねる。
「亜里沙ってば、待ってよ!」
「凱斗! 待ちなさいってば!」
「待って!」
「こら待て!」
ふたりで待て待て大声で叫びながら走っていたら、関係ない周りの人が次々と立ち止まってしまった……。
思いがけず周囲の注目を浴びて、あたしはキュッと首をすくめたけれど、亜里沙はお構いなし。