君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
「……待てっつってんでしょ!」
あぜんとしているあたしの隣で、体勢を立て直した亜里沙が傘を放り出して猛然と走り出す。
凱斗の背後から右肩を掴み、全身のバネを利用して思いっきり後ろに引っ張った。
たまらず凱斗はヨロけて、「うわ!?」っとアスファルトにヒザと手をついてしまう。
「テメ、なにすんだよ!?」
凱斗はすっかり頭にきてしまったようで、これまで以上の大声を出して怒鳴った。
普段は穏やかな凱斗が、見たこともないキツイ目をしてギロッと亜里沙を睨み上げる。
高校生ぐらいになった男の子が本気で怒ると、マジメに怖い。シャレにならない凄みを感じて、あたしは思わずビクッと怯んでしまった。
ところが亜里沙は……。
「なにすんだ、だあぁ!? それはこっちのセリフだよ! あんた、奏になにしたの!?」
凱斗の声を何倍も上回るボリュームで、爆発的に怒鳴り返した。
「奏はね、泣いてたんだよ! 知らないとは言わせないからね! あんたが泣かしたんでしょ!?」