君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 雨の中、傘もささずに仁王立ちして凱斗を見下ろしながら亜里沙は吼える。

 綺麗な両眉は三角に吊り上がり、強い怒りに燃えた琥珀色の大きな目はカッと見開かれている。

 今にも目玉が飛び出しそうなほどの大迫力だ。

 奈良の東大寺の金剛力士像みたいな亜里沙の姿を、凱斗はもとより、周囲の生徒たちがポカンと見つめていた。

 ……特に、男子生徒たちが。

「奏はグチャグチャになった美術準備室で、ひとりぼっちで泣いてた! それがどんなに辛いことか、あんたにわかる!?」

 凱斗に向かって飛び掛からんばかりの形相で叫ぶ亜里沙の言葉に、凱斗は反射的にあたしを見た。

 目が合ったとたん、亜里沙を見ていたときとは一変した弱々しい顔つきになってしまう。

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