君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
そうして少しの間、あたしと、亜里沙と、凱斗の間には沈黙が続いた。
サーサーと地面を叩く雨の音と、傘にポツポツと落ちる雫の音しか聞こえない。
やがて凱斗がのっそり立ち上がり、濡れた前髪を大きな手で掻き上げて、アスファルトの上の傘を拾ってまた校門へと歩き出した。
「ちょっと……!」
「来いよ」
怒鳴り始めた亜里沙の声をさえぎって、凱斗が言う。
「話すよ。ちゃんと。でもここで言うわけにいかないだろ?」
言われて改めて周りを見れば、あたしたちは大勢の生徒たちにグルッと取り囲まれていた。
全員困惑と好奇心の入り混じった顔で、食い入るようにこっちを凝視している。
ものすごい数の視線攻撃に、あたしは思わず体を縮こませた。
「場所を変えよう」
振り返りもせずそう言って、凱斗は歩いて行く。
あたしと亜里沙は顔を見合わせ、この気まずい状況から脱出するようにパタパタと後を追った。
凱斗を先頭にした三人で、雨に濡れる校門を通り抜ける。
あたしは歩きながらポケットからハンカチを取り出し、亜里沙に差し出した。