君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 あたしは気になって凱斗の目を覗きこんだけど、亜里沙はべつに気にした様子もなく、話の続きを急かす。

「で?」

「クラブでボランティア活動してたんだ。入江は早くにお母さんを亡くしたから、そういう方面に関心があったらしい」

「ふーん、詳しいね。仲良かったの?」

「…………」

 凱斗は一瞬黙り込んで、言いにくそうに視線を泳がせた。

 その様子から、あたしは次にくる言葉を簡単に予想できてしまった。

「中学のとき入江から告白されて、ちょっとの間だけ付き合ってた」

 ああ、やっぱり……。

 そう思うと同時に、ズクンと重い痛みが心に圧しかかった。

 心臓のあたりを強引に掻き回されるような、灼けるような嫌な感覚がする。

 入江さんは凱斗のことが好きだったんだ。

 凱斗に想いを寄せている女の子が、あたし以外にもいた。

 それはすごくすごく、なんていうか、すごく……

 嫌、なんだ。

 それがたとえ、もうこの世にいない人なんだとしても。

 灼ける痛みが顔に出ないように気をつけながら、あたしは凱斗をじっと見つめていた。

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