君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
あたしの指にもグッと力が入って、いつの間にか手の平がしっとり汗ばんでいる。
黄色い危険信号が点滅するみたいにドクドクと心臓がザワつく。
この先を、聞きたくない。……この先の話を聞いてしまったら……。
「だって入江を傘に入れるわけにいかないじゃないか。俺は去年からずっとお前を……」
凱斗が言葉を止めて、言い訳するみたいな目であたしを見た。
深刻な表情で見つめ合うあたしたちの顔を、亜里沙がキョロキョロ交互に見ている。
そして、なにかを納得したように静かにコーラをひと口飲んだ。
「だから、『好きな人がいるから、最近のお前のそういう態度、ちょっと困ってる』って正直に伝えた」
「……どんな反応されたの?」
「入江、ものすごいショックを受けた顔して、いきなり逃げ出したんだ。俺、追いかけようか迷ったけれど、そっとしておいた方がいいと思った」
そして……。
「その日の夜、入江は自殺した」
わかっていたけど、聞きたくなかった言葉を聞いてしまったあたしたちは……黙りこくった。
だって、出すべき言葉が見つからない。
奇妙に沈み込むあたしたちの周りの、同じ学校の生徒たちの交わす明るい笑い声が、とても遠い遠い世界のように感じられた。