君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
人が死んだ。
その死に、自分が関わっている。
そんな大きすぎる現実を目の前にすると、怖くてどうすればいいのかわからなくなる。
口も、心も、まるで怯えて混乱した貝のように、固く閉ざしてしまう以外なにもできないんだ。
「ねえ、でもさ、そう決めつけるのってちょっと早くない?」
重く沈んだ空気を変えようとしてるみたいに、亜里沙が軽く咳払いをしてから、そう言った。
「入江さんはあんたに振られたことがショックで自殺したの?」
「ああ、きっとそうだと思う」
「でも絶対そうとは言い切れないじゃん」
「でも俺が傘に入れるのを断ったその日に自殺したんだ。無関係なわけがない」
「そりゃ、まあ、ある種のきっかけ……には、なったのかもしれないけど……」
さすがに気を遣っているのか、珍しく亜里沙の歯切れが悪い。
カップの中でストローを無意味にクルクル回しながら、ぽつんぽつんと、考え込みながら話している。
「でもさ、炎上覚悟で言わせてもらえば、たかが失恋ごときで自殺って、あんまりにもヤワい神経じゃない?」
「藤森、お前そんな……!」
「わかってるってば。だから炎上覚悟って言ってるじゃん」