君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
凱斗、帰っちゃうの?
そう思ったけど、口には出せなかった。亜里沙も文句も言わずに黙ってる。
ここにいたって結局、みんな揃って黙り込むしかないから。
あたしたちができることは、入江さんの自殺の原因があたしと凱斗だっていう現実を、そのまま受け入れることだけ。
受け入れても……入江さんは生き返らないし、どこにも救いはないけど。
全部が宙ぶらりんで、心細くて、あたしはテーブルの横を通り過ぎる凱斗の顔を不安な思いで見あげた。
凱斗に声をかけたい。話したい。でもなにを? どんな風に?
いろんなことが胸の奥で溶けた泥水みたいにドロドロしてて、ちゃんとした言葉にならない。
そんな思いが聞こえたように、不意に凱斗が立ち止まってあたしを見た。
まるで迷子のような、悲しそうな目をしている凱斗の唇が動く。
「向坂、俺……」
あたしは、凱斗の言葉を待った。
凱斗がなにか言ってくれたら、ほんの少しでも救われそうな気がしたから。
言葉にできない気持ちを込めて、精いっぱい、凱斗を見つめた。