君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
あたしは入江さんという存在を、自分とは一切関わりのないものだと思ってた。
自殺してしまった彼女の世界なんて、あたしの世界とは、まったく関係ない別物だと信じていた。
会ったこともない、顔も知らない、『入江小花』という世界。
なのに、幻影のような後ろ姿しか想像できないその世界がいま、あたしの世界に大きく関わっている。
そして彼女の世界は凱斗の世界にも、信じられないほど深く重く影響している。
たぶん、あたしとの関わりよりも、ずっとずっと深く。
……世界って、なんて曖昧なんだろう。
自分の知らない間に、自分の意思と関わりなく、見えない糸と糸が絡み合ってしまっているなんて。
一度絡んでしまったら、自分ではもう、どうにもできないなんて。
窓越しに聞こえる陰気な雨の音を聞きながら、薄暗い色にすっかり染まった寂しい景色を見る。
明るい照明に照らされた、楽しそうな話し声や笑い声の溢れるこちら側の方が、逆に別世界のような気がした。
なんだか怖くて、すごく不安で、あたしはどうすればいいのかまるでわからなかった……。