星の砂 **海と空の秘密**
第1章 ~海と太陽とクソガキ~
★夏のはじまり
もくもくと育つ入道雲が見える、夏の午後。
それは、夏休みに入る5日前のことだった。
「ねぇ! 健一と美由が付き合ってるって、ホント!? 嘘…だよね?」
私は学校に着くなり、親友の美由に問い詰めた。
私の彼氏・健一と、美由が付き合っているという噂を耳にしたからだ。
「え? ホントだよ。あんたの彼氏、好きになっちゃったから、奪っちゃった。ごめんね?」
セミが鳴き始めていた。
自転車で坂道を必死になって走ってきたせいで、汗だくだ。
こんなに暑いのに、部屋の中はエアコンがあまり効いていない。
私は彼女の言っていることが理解出来ず、その場に立ち尽くした。
目の前で、余裕の笑みを浮かべる彼女の顔をただぼーっと眺めていた。
だが、ふつふつと、この猛暑にも負けないくらいの怒りがこみあげてきた。
私は歯を食いしばり、手に力を込めた。
「ざけんなああああーーーー!!!」
そして、そいつにパンチをお見舞いしてやった。
あとから聞いた話によると、全治1週間のけケガを負わせてしまったらしい。