星の砂 **海と空の秘密**


雫は空に手を振り払われると、ひどく傷ついた顔をした。


そして、雫は私に背を向け、砂浜を駆け出した。

涙を見せたことのない雫だけど、明らかに泣いているのが分かる。


遠ざかる背を、私は夢中で追いかけた。

その背中は、止まることなく、夜の砂浜を進む。



友達なんていらないと思っていた。


人と絡むは苦手だし、面倒くさい。

人の顔色うかがって、付き合って笑って、遊んで。

一緒にいてイライラするだけ。


深い友達も、浅い友達も要らない。


人は裏切る生き物だ。

そして、自分が傷つくと、その分人を傷つけようとする。

どうせ人なんて、死ぬまでに嘘を1度は付く生き物なんだ。

自分しか信用できない。


人間関係を一切断ち切って、ずっと一人で過ごしていたいと思ったことさえあった。


傷つくなら、愛さない方がいい。

そう思っていた。


それでも、どこかで人を欲する私が居た。

人間不信な部分は今でもあるけど、やっぱり友達は大切だと、ここへ来て思った。



雫だけは、失いたくない。




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