星の砂 **海と空の秘密**


潮風が少し冷たくなってきた。

砂浜に腰を下ろした雫の隣に私も座った。


「雫、ごめんね。さっき、色々あって海斗とケンカしちゃって、つい空に甘えちゃったんだ。後から、雫や海斗になんてひどいことしたんだろうって、すごい後悔した。嫌われてもしょうがないなって…。本当にごめんなさい。」


私は雫の目を真っ直ぐ見ながら、先ほどのことを謝った。

本当は、アユミさんと空のことの方が気になったけれど、やっぱり謝るべきだと思った。


雫は優しい顔で言った。


「そんなに自分のこと責めないで。しょうがないよ。それに、そんなことでここみを嫌いになったりしないよ。親友だもん。」


そう言った雫は、すごく大人に見えた。


雫の言葉が嬉しかった。

私は、雫が自分のことを裏切らないと信じているし、同時に、雫も私のことを信じている。

親友って、きっとそういう意味なんだ。


今度は寂しそうな顔で、海を眺めながら、雫は言った。


「何となくね、気付いてたの。空は、私のことが好きじゃないんだなって。それで、ここみを追う空にも気付いてた。でもね、すぐに分かった。空はまだアユミさんを追っているんだって…。3年前と、そっくりなの。」


そう言って、雫は寂しそうに笑った。

無理しているのが、よく分かった。


私は、顔をしかめた。

胸が締め付けられるような思いだった。


何ていえばいいのか分からない。

言葉を失っていると、雫は笑みを浮かべながら話しかけてきた。

今度は、晴れ晴れとした笑顔で。


「私ね、空のこと諦めないよ。アユミさんのことを好きなままでもいいから、ちゃんと好きになってもらえるように頑張る。ここみも、海斗とちゃんと仲直りしなね?」


そう言った雫は、すごく大人に見えた。


「うん、ありがとう。」


2人で笑い合っていると、ざくざくと砂を散らして駆けてくる音が聞こえた。

その音の方に目をやると、海斗と空がいた。




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