星の砂 **海と空の秘密**
雫が私の背中を押した。
「ここみ…!」
きっと、雫のことを気にしている優しい海斗は、少し戸惑った顔をしながら、私の名前を呼んだ。
でも、すごく真剣な表情で。
私は思った。
もっとこの人を大事にしなくちゃ、と。
もっとこの人を信じよう、と。
「海斗…!」
私は、海斗の胸に飛び込んだ。
「ごめんね、海斗。別れるなんて言ってごめん。傷つけちゃったね。」
海斗はそっと、私の体を抱きしめた。
「いや、ここみは悪くない。ちゃんと話さなかった俺が悪い。でも、頼むから、もう別れるなんて言わないで…。」
私は、一時の気持ちで『別れる』なんて言ってしまった自分を、激しく後悔した。
ごめんね、海斗…。
気付くと、雫と空の姿はもうなかった。
夜の海には、私と海斗の2人だけ。