星の砂 **海と空の秘密**


雫が私の背中を押した。


「ここみ…!」


きっと、雫のことを気にしている優しい海斗は、少し戸惑った顔をしながら、私の名前を呼んだ。

でも、すごく真剣な表情で。


私は思った。

もっとこの人を大事にしなくちゃ、と。

もっとこの人を信じよう、と。


「海斗…!」


私は、海斗の胸に飛び込んだ。


「ごめんね、海斗。別れるなんて言ってごめん。傷つけちゃったね。」


海斗はそっと、私の体を抱きしめた。


「いや、ここみは悪くない。ちゃんと話さなかった俺が悪い。でも、頼むから、もう別れるなんて言わないで…。」


私は、一時の気持ちで『別れる』なんて言ってしまった自分を、激しく後悔した。


ごめんね、海斗…。



気付くと、雫と空の姿はもうなかった。

夜の海には、私と海斗の2人だけ。




< 106 / 143 >

この作品をシェア

pagetop