星の砂 **海と空の秘密**


雫を家に送り届けてから、俺も家へ戻った。


家の明かりは消えていた。

どうやら、俊兄たちは寝てしまったようだ。


部屋へ入るなり、俺はソファへ倒れるようにして、横になった。


ここみと海斗は、まだ帰っていなかった。

今頃2人は…なんて考えていたら、とてつもない苦しみが胸を締め付けた。


電気を消さずに、俺はただ天井を見ていた。

まだ起きていると、ここみに知っていて欲しかったのかもしれない。


物音がして、ここみと海斗が帰ってきたことがすぐに分かった。

ここみが俺の元に来ると期待していた、可哀想な俺。


ずっと耳をすませていた。

階段を上る足音が消え、俺はまたとてつもなく切なくなる。


どうしてもここみに会いたくなって、俺は静かに部屋を抜けた。

そして、階段へ足を踏み入れようとした、その時。


窓からもれる月の光が眩しくて、 少しだけ目を細めた。

その光の下、静かに重なる2つの影。




2人はキスをしていた…。




< 118 / 143 >

この作品をシェア

pagetop