星の砂 **海と空の秘密**


空が私の告白を受け止めてくれたとき、信じられないくらい嬉しかった。

でも、それはすぐに切ないものへと変わった。


キスも、手を繋ぐこともさえもしてくれない。


空はいつも、海を見ていた。

そして、ここみを見る目が、アユミさんを見ていた時の目とそっくりだった。


私がどんなに空を好きになっても、空は私のことを見てくれない。


誰にも涙を見せなかった。

毎晩、海に来ては泣いた。

声を張り上げ、わんわん泣いた。


明日1日、どんなに辛くても、空の前で笑えるように…。


昔から、悩み事ができると海へ来ていた。

広大な海を見ていると、自分の悩みがとてもちっぽけに思えたから。


でも、空のことはそんな風に思えなかった。


アユミさんを憎んだ。

アユミさんに似たここみを憎んだ。


だけど、それでも良かった。

辛いけれど、空がいてくれるなら、それだけで良かった。


空は、もう二度と好きな人と一緒にいられない。

そんな苦しみに比べれば、私は幸せだ。


アユミさんを好きなままでもいい。

ちょっとずつ好きになって欲しい。

そしていつか、ちゃんと好きになってもらえるように…。


だから、私は明日も笑顔で頑張るの。



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