星の砂 **海と空の秘密**
「雫…!?」
ここみが私の名前を呼ぶと、空は素早く反応し、私を見た。
まるで、哀れなものを見るような目で、私を見た。
もう、耐えられない…。
「どうして?空…。ねぇ、何で?私たち、付き合ってるんじゃないの…?」
分かっていた。
空が私のことを好きではないことも、全て分かっていた。
でも、空を困らせたかった。
少しでも、私のことを考えて欲しかった。
そんな私を、もう一人の自分が泣きながら眺めている。
そして、私の思いは波の音と共に消えた。
「雫。中途半端な気持ちで付き合って、ごめん。でも、俺…。振られたけど、ここみが好きなんだ。ここみと海斗が付き合ってても、関係ないと思ってる。」
違う。
空は気付いていない。
自分がここみをアユミさんと重ねて追っていることに、気付いていない。
私は、嫌われる覚悟で空にすがった。