星の砂 **海と空の秘密**


「待って!お願い、雫!!」


ここみの声で、我に返った。

私は、また心の悲鳴を無視して笑った。


「あはは、大丈夫だよ。死んだりしないから!」


嘘。

ここみがいなかったら、死ぬところだった。


ありがとう、ここみ。


そして、私はここみにすべてを話した。


今まで話すと泣きそうだったから言わなかったけれど、今はもう泣かない。

強くなりたいから…。


昼間の海とは全く違った、夜の海。

人気の無い夜の海を、波音だけが辺りを支配していた。

大きな月が水平線の向こうに浮かんでいた。


しばらくして、空と海斗がやって来た。

私は、ここみの背中を押した。



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