星の砂 **海と空の秘密**


幸せそうな2人を切なそうに見る空を、私は連れ出した。


「空!話したいことあるんだけど、一緒に途中まで歩かない?」


太陽がない、夜の海。

それでも笑うことができた。


空は少し戸惑った顔をしながら、静かに頷いた。


2人で歩く夜道は暗い。

ぽつぽつとある外灯が、足元を明るく照らす。


私は覚悟を決めて言った。


「雫は、空が好き。空がアユミさんのことを好きでもいい。全部受け止める。好きになってくれなくてもいいから、好きではいさせてね…。」


私の気持ちは、生半可なものじゃないということを空に知って欲しかった。

空はきっと、分かってくれたのだと思う。


「こんな俺を好きになってくれて、ありがとな。」


そう言った空の顔は、今まで見た事がないような、悲しげな笑みだった。

そして、辛そうだった。


困らせてごめんね、空。

それでも、好きでしょうがないの。


本当は、好きになって欲しい。

本当は、好きだと言って欲しい。


でも、求めない。

これでいい。



私はずっと、あなただけを想う…。



~雫side・END~



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