星の砂 **海と空の秘密**
最終章 ~幸せの星の砂~
★絆
それぞれが、様々な思いを抱えたまま、時が流れた。
夏の終わりの海は、とてもすいていた。
忙しさのあまり、目が回りそうになっていた頃が、懐かしい。
でも、海の輝きは変わらなかった。
海は私たちの夏の思い出を飲み込み、さらっていく。
夏の終わりは、なぜか感傷的になる。
夏真っ盛りの頃は、『暑いからやだ』なんて言っていたけれど、夏が終わりに近づくと、何だかとっても寂しくなるのだ。
今年は、特にそうだ。
きっと、しおかぜのみんなとの別れが待っているから。
「おーい!海斗、空、雫、ここみ!お前らも、あと一緒にいられる時間少ないんだから、上で一緒に働いて来い!今年の下の仕事は、これで終わりだ。」
俊兄が、首にタオルを巻きながら、私たちに向かって叫んだ。
今年の下の仕事、これで終わりなんだ…。
胸に宿る寂しさを、次に待つ仕事が掻き消してくれた。
海斗、空、雫、私の4人で、上で働いた。
4人の笑顔が耐えることはなく、すごくすごく楽しかった。
私は、雫が無理して笑っていることも、空が苦しんでいることも知らなかった。
人の幸せを願っているつもりで、自分の幸せしか見えていなかったのかもしれない。
それぞれの苦しみを知ったとき、私は今自分がどんなに幸せなのかを知った。