星の砂 **海と空の秘密**


本当は、不安でいっぱいだった。

でも、お互いに『寂しい』とか『会えなくなるね』とか、そんな言葉は口に出さなかった。


だけど、今はもうだめ。

離れるなんて出来ないよ、海斗。

ずっとずっと一緒にいたい。


「海斗。」


私はとうとう、弱音を口にした。


「どした?」


海斗は、私の言いたいことを分かっているのだろう。

笑顔は、寂しそうだった。


私は海に視線を落とした。

水面に映る花火がゆらゆらと揺れ、光る。

打ち上げられた花火は、みんな海へと吸い込まれてゆく。


「私、海斗が好き。もう海斗がいないとだめ。私、意地っ張りで、寂しがりやで、すっごく甘えん坊だから…。海斗がいないと何もできないよ。離れたら、だめになりそうで怖いの。離れたくない。ずっと一緒にいたいよ…。」


声が震えた。

自然と目に熱いものがこみあげてきて、私は下を向いた。


足元には、白い貝殻が落ちていた。




< 136 / 143 >

この作品をシェア

pagetop