星の砂 **海と空の秘密**
本当は、不安でいっぱいだった。
でも、お互いに『寂しい』とか『会えなくなるね』とか、そんな言葉は口に出さなかった。
だけど、今はもうだめ。
離れるなんて出来ないよ、海斗。
ずっとずっと一緒にいたい。
「海斗。」
私はとうとう、弱音を口にした。
「どした?」
海斗は、私の言いたいことを分かっているのだろう。
笑顔は、寂しそうだった。
私は海に視線を落とした。
水面に映る花火がゆらゆらと揺れ、光る。
打ち上げられた花火は、みんな海へと吸い込まれてゆく。
「私、海斗が好き。もう海斗がいないとだめ。私、意地っ張りで、寂しがりやで、すっごく甘えん坊だから…。海斗がいないと何もできないよ。離れたら、だめになりそうで怖いの。離れたくない。ずっと一緒にいたいよ…。」
声が震えた。
自然と目に熱いものがこみあげてきて、私は下を向いた。
足元には、白い貝殻が落ちていた。