星の砂 **海と空の秘密**


「顔上げて、ここみ。」


「え…?」


ぱっと顔を上げた瞬間、海斗にキスをされた。


長い長いキスだった。

そっと、優しく、瞳を閉じて、キスをするあなたが見えた。

唇が離れても、涙を拭うことの出来ない私を、海斗はそっと抱きしめた。


「お前には、俺しかいないだろ?俺にも、お前しかいないから。だから、ここみと別れたりとかは絶対しない。ここみと別れるなんて、死ぬのと同じ。」


耳元で、海斗が囁く。

熱い吐息に思考がどうかなりそうだ。


花火の音で、波の音は聞こえない。


「どうして…?どうして先のことをそんな風に言えるの?」


海斗は私の体を、更に強く抱きしめた。


「分かるから。俺は、お前に一生分の恋をしてる。お前以上に好きになるやつなんか、絶対いない。」



“一生分の恋をしている”



それは、私も同じだ。

どうして、なんて聞いてしまったけれど、分かるよ。



私たちは、海で出会った運命の相手だから――。



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