星の砂 **海と空の秘密**
この頃からだっただろうか。
私が人間不信と同時に、恋愛不信になってしまったのは。
それでも別れを告げて来なかった彼に、私は期待していた。
本当に好きだったから、自分からも別れを告げなかった。
私は学校を飛び出し、自転車のカゴに乱暴にカバンを放り込むと、全速力で坂を駆け上った。
セミの声なんか、もう聞こえなかった。
家に着くと、荷物をまとめ、何かあったときに遣おうと思っていた貯金を取り出した。
驚くお母さんに目もくれず、『おじいちゃんちに行く』とだけ伝え、家を飛び出した。
何もかも忘れたかった。
遠くに行きたかった。