星の砂 **海と空の秘密**


私はビーチサンダルを履き、家を抜け出した。

何故だか、嫌いなはずの海を見たくなった。



家を出た瞬間に、キラキラの海が私を迎えた。

昼とはまったく違う、静かな海。



ビーチサンダルに砂が入っても、気にならなかった。

むしろ、何だか心地良かった。



砂浜に座り、海を見た。



こんな海の広さに比べたら、自分の悩みなんてすごくちっぽけだと思う。


それでも、やっぱり自分の人生は自分が主役だ。

悲しいことは悲しいと思うし、嬉しいことは嬉しいと思う。




好きだった。ものすごく。




はじめて、こんな私を好きだと言ってくれた人だった。

はじめて手を繋いだのも、キスも、すべて健一だった。



不器用な私たちだったけれど、幸せだった。







そして、私は久しぶりに声を上げて泣いた。




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