星の砂 **海と空の秘密**
★苦渋の選択
太陽の日差しが、肌に心地よく当たり、私をこんがりと夏色に染める。
海の波が、みんなの楽しそうな声を運んでくる。
嫌いだった海も、今ではすっかり好きな場所。
しおかぜと勝連家に来て、2週間が経とうとしていた。
みんなとの仲も更に深まり、自分の家や家族といるよりも、居心地が良かった。
健一の傷は、みんなが忘れさせてくれた。
特に、海斗の素直じゃない優しさが染みた。
だからって、雫が言うように恋にはならなかったけれど。
私は相変わらず、海斗と砂浜を飲み物を売るバイトだった。
雫と空くんも、相変わらずウエイトレスをやっている。
私は1度だけ、海斗に聞いたことがある。
しおかぜの中を指差しながら、『上で仕事やらないの?』と。
海斗は『海空コンビってバカにされるから嫌だ』と答えた。
正反対の外見に、正反対の性格。
それでも兄弟である海斗と空くんは、あまり仲がよくない。