星の砂 **海と空の秘密**
それなのに、今日は雫が交代したいなんて言い出すから、私は上で働いている。
上に来ることは、滅多になかった。
店内は、夏らしい涼しげな曲がかかり、お客さんでガヤガヤしていた。
今まで同じ高さだった砂浜や海が、今は私よりずっと低い位置にある。
太陽の光に反射してキラキラしていた砂浜は、カラフルなビーチパラソルで埋め尽くされ、ほとんど見えなかった。
でも、ディープブルーの海が、ずっと遠くまで見えた。
この景色も、結構好きだ。
雫が交代したいと言ったとき、空くんが上に残って私とやりたいと言い出した。
私は不思議に思いながらも、空くんの元へと行こうとした。
その時私の手首を掴んだのは、海斗だった。
「空には無理だ。コイツをカバーしてやれんの、俺しかいねーし。」
いつもだったら、怒れるようなセリフなのに、なぜだか何も言えなかった。
空くんも雫も、驚いた顔で海斗を見ていた。
どうして、海斗はこんなに私の心を乱すの?
恋愛に臆病になった私は、もう恋なんてしないよ?
好きになんか、ならないよ…?