星の砂 **海と空の秘密**
おじいちゃんは、扇風機のスイッチを入れ、私の方に向けてくれた。
そして台所へ行き、冷凍庫からアイスを取り出し、私に渡してくれた。
「もうここみも大学3年生だろう? 大きくなったなぁ」
おじいちゃんは、私に会うたびこの言葉を繰り返す。
もう、私の身長は5年ぐらい伸びていないのに。
「本当はね、夏休み前なんだけど、ちょっと嫌なことがあって……。こっち来ちゃった。」
冷凍庫がしっかりしまっていなかったのか、アイスは溶け始めていた。
真っ白な、ミルク味のアイス。
おじいちゃんは、これしか買わない。
「そうか。まぁ、気が済むまでいるといいよ。」
「うん。ありがとう。夏休みはずっといようと思って、着替えも全部持ってきた!お世話になります。」
私は、ペコリと頭を下げた。
おじいちゃんは、抜けた前歯をあらわにして、ニッコリと笑った。