星の砂 **海と空の秘密**


“空”


名前を聞いただけで、色んな気持ちが交差する。


空からの告白を断り、海斗の胸に抱かれたときの切ない気持ち。

雫に打ち明けることのできない、苦しい気持ち。

そして、雫と空が付き合うことに対しての、複雑な気持ちが…。


空の自暴自棄な付き合いだったとしても、私には雫を止める権利がない。



もう、信じよう。


空は、そんな軽い人じゃない。

雫を大切にしてくれる、優しくて、カッコイイ彼氏。



頭を抱え、ため息ばかりつく私を見て、海斗がそっと手を握ってきた。

私は驚いて、海斗を見た。



「どした?何かあった?」



優しい海斗に甘えたくなった。


でも、私たちも始まったばかり。

まだまだ脆いけれど、この恋を大切にしたい。


私は、海斗の前で空の名前を出さないと決めていた。



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