星の砂 **海と空の秘密**
「三年前のことなんだけど……。私より三つ年上の大学生だったんだ。ここみと同じようにやって来てさ。優しくて、大人っぽくて、私も憧れちゃうくらい美人だったから、海斗も空もふたりとも好きになっちゃって。いっつもふたりで取り合いしてた」
そう言って、雫は大きく伸びをした。
雲ひとつない青い青い空が、私たちの真上にどこまでも広がっていた。
「そうだったんだ……」
―――『また、好きな女が一緒になるなんてな。』
そう言っていた海斗の言葉の意味が、やっと分かった。
ふたりとも、アユミさんという一人の女性を好きになったんだね。
その状況が、今とすごく似ているんだ。
「うん。あのふたりね、本当はあんなに仲悪くなかったんだよ。海空コンビって言われるほど仲良かったの。でも、アユミさんの取り合いが本気になっていって……」
海空コンビとバカにされるのが嫌だと言っていた海斗。
そう思い始めたのは、いつからだろうか。
雫の表情が険しくなる。
私も、自分の表情が曇っていくのが分かった。