星の砂 **海と空の秘密**


私は、それを見るのに必死になっていたせいで、部屋の中に海斗が入ってきていることに気付かなかった。


気付いた時には、もう遅かった。


「やめろ!」


海斗は私から、写真と星の砂が入った袋を取り上げた。

その反動で、私の手からばらばらと星の砂がこぼれ落ちた。


必死になって、それを拾う海斗を見るのがつらくて、私は海斗に背を向けた。

すると、突然海斗は私を床に押し倒した。


「ちょっ…な、何す……!」


私は恐くなって必死に海斗を押しのけようとした。

しかし、海斗の力には適わなかった。


海斗は私の両手を封じ、耳に口を寄せてささやいた。


「何でお前がこれ持ってた?」


海斗の手には、5人で写っているあの写真が握られていた。


私は、慌てて目を背けた。



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