星の砂 **海と空の秘密**
アユミは、俺より3つ年上だった。
当時大学3年生だったアユミは、夏の思い出づくりにと「しおかぜ」へやって来た。
俺は、まだまだガキだった。
男と女の恋愛なんて、したことがなかった。
俺はいつだって、海に恋をしていた。
でも、アユミに出会って知った。
恋は、時に眩しいほどの幸福を与えるということ。
そして、同時に何よりも残酷であるということを――。
「アユミ!焼きそば食うか?」
アユミに俺の作った焼きそばを食べて欲しくて、必死で焼きそばを作った。
今、これほどの腕前になったのは、あの頃、アユミのために頑張ったから。
「海斗の焼きそばなんか食ったら、腹こわすぞ? はい、アユミ。レモンティー。」
空は兄貴だけあって、やっぱり大人だった。
俺の周りでは、王子とか騒がれてたし。
女の扱いにも、慣れていた。
「ふふ。ありがと、空。」
アユミは、いつも笑顔だった。
その後、アユミは空に妬いてスネる俺の元へ、決まってやって来た。
『海斗の焼きそば、食べたいな』って。
俺は、ベタ惚れだった。