星の砂 **海と空の秘密**


あいつの行くところなんか、考えなくても分かる。


―――なぁ、ここみ。


俺を信じられないなら、今の俺を見てくれよ。

今、海を目指して全力疾走している俺は、お前のことしか考えていない。


必死すぎて、かっこ悪いだろ?



俺はガードレールを飛び越え、車の隙をうかがって道路へ出た。

眼下、数十メートル下には海が広がっていた。



俺がお前を好きになったのは、アユミに似ているとか、そんなくだらない理由なんかじゃない。


確かに、初めて会ったときは目を疑った。

空も相当驚いただろう。


アユミが帰ってきたのかと、本気で思った。


驚きのあまり、俺は持っていたホースをここみに向け、水をかけてしまった。


でも、死んだ者が生き返ることは、決してない。

俺はすぐに目覚めた。

アユミに似たそいつは、前日に俊兄が言っていた『早瀬 ここみ』だと、すぐに理解出来た。




< 95 / 143 >

この作品をシェア

pagetop