星の砂 **海と空の秘密**
あいつの行くところなんか、考えなくても分かる。
―――なぁ、ここみ。
俺を信じられないなら、今の俺を見てくれよ。
今、海を目指して全力疾走している俺は、お前のことしか考えていない。
必死すぎて、かっこ悪いだろ?
俺はガードレールを飛び越え、車の隙をうかがって道路へ出た。
眼下、数十メートル下には海が広がっていた。
俺がお前を好きになったのは、アユミに似ているとか、そんなくだらない理由なんかじゃない。
確かに、初めて会ったときは目を疑った。
空も相当驚いただろう。
アユミが帰ってきたのかと、本気で思った。
驚きのあまり、俺は持っていたホースをここみに向け、水をかけてしまった。
でも、死んだ者が生き返ることは、決してない。
俺はすぐに目覚めた。
アユミに似たそいつは、前日に俊兄が言っていた『早瀬 ここみ』だと、すぐに理解出来た。