Blue Moon
目を向けた先にいたのは、おじいさん…というほどにはまだ少し遠いくらいの年配の男の人だった。
「…俺らになにか?」
ほぼ反射的にネオが私を隠すように、一歩前へと出る。
「先ほどの、あなた方の行動を見させてもらったんだ」
…それは、そうか、と思う。
路地裏といえど、人が見ていないとは限らなかった。
「…あれは、そう簡単に出来ることじゃない」
その言葉と視線の隙間から、わずかながら冷気を感じる。
さらに、何かを怪しむような、そんな気配までも伺えた。
「…いや、俺たちは…」
「――――これは、お見苦しいものを見させてしまい申し訳ありませんでした。
しかし、私たちは単なる一介の旅人です。
…私たちは偶然、あの現場を目撃してしまっただけです。
…困っている人を助けるのは、当然のことだと私は思うのです。」
ネオの言葉を遮ってしまい、あとで何か言われると思いつつも、口が勝手に動いてしまう。
ネオの隣に出て、私は少しだけ頭を下げてから力強く言って、目の前の男性を見据えた。