Blue Moon
私たちはその後、一度宿の店主とともに宿へ行き、荷物を置いて――――といっても、私は何一つ荷物なんてないのだけれど。
お風呂を済ませた後で、夕刻の繁華街へ繰り出した。
昼間の雰囲気とは打って変わり、明かりが灯り始めた街の雰囲気はとても幻想的だった。
街を見渡しながら歩いていると、時々お店の中から聞こえてくる陽気な音楽や笑い声に心踊らせる。
「さて、それじゃあ…何か食べようか」
「そうね!」
実を言うと、ちょうどお腹が空き始めていたところだった。
それから、繁華街の中心まで歩いたところで、中から軽快な音楽が聞こえてくる、テラス付きのお店の中へ入った。
音楽に合わせながら踊る女の人や、それを鑑賞する人たちなど色々な人達が各々で楽しい時間を過ごしていた。
私たちも次々に運ばれてくるお肉や野菜をふんだんに使っている料理を口に運ぶ。
こんな料理を食べたのは久しぶりで、とても美味しかった。
「元お姫様はこんな下町の料理なんて食べないかと思った」
ぱくぱく、と料理を頬張る私を見ながら笑うネオに、少しだけムッとする。
「…失礼ね。
こんなおいしい料理、初めて食べたわ」
「それは、お褒めに預かり光栄でございます」
なんて言うネオに、「なによ、それ」と返して、私もつられて笑ってしまった。