Blue Moon


すると。



「―――さあさあ、そこのお姉さんも一緒に踊りましょう!」



突然声をかけてきた女の人たちに、半無理やり手を引かれた。


何が何だかわからないうちに席から立たされて、引っ張られるがまま中央へ連れて行かれる。




「―――ささ!今夜はせっかく素敵な夜なんだから、楽しく踊りましょう!」



軽快な音楽とともに、店内に散らばる何人かの女の人たちが踊りだし、私もつられて踊って見せる。


踊りが始まったことでさらに騒がしくなる店内に、なんだか私も楽しくなってきて、つい一曲分一緒に踊ってしまった。



急いで席に戻ると、そこに座っていたネオと目が合った。



―――……!




それは、なんだかいつもと感じが違う眼差しで。


その感覚に、微かに胸が鳴る音が聞こえた。




「楽しかった?」


「あ…、ええ! とっても!」


「じゃあ、そろそろ宿に戻ろうか」


「…うん」



気が付いた時には、ネオの調子はいつも通りになっていて、先程のものは私の勘違いだと思った。






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